Sustainability Update / May – Jun 2025

2025/07/10

リオティント、チリでのリチウム開発を加速 — コデルコおよびENAMIとの戦略的提携を発表

 

リオティントは、チリにおけるリチウム資源の開発を大きく前進させる2つの重要な提携を発表しました。これらの取り組みは、世界的なエネルギー転換を支える重要資源の安定供給に向けた、同社の戦略的な一歩となります。

リオティントは、チリの国営銅公社コデルコ(Codelco)と、アタカマ地域に位置するサラール・デ・マリクンガにおける高品位リチウムプロジェクトの開発に向けた拘束力のある契約を締結しました。この契約により、リオティントはコデルコが保有する子会社「Salar de Maricunga SpA」の49.99%の権益を取得します。調査・開発費用はリオティントが負担します。サラール・デ・マリクンガは、大規模なリチウム資源を有し、長寿命・低コストかつ拡張性に優れたポテンシャルを持つ地域です。また、そのかん水は世界有数の高濃度のリチウムを含みます。この提携は、チリとリオティントの双方にとって、グローバルなリチウム供給網における地位を強化する重要なステップとなります。

さらにリオティントは、チリ国営鉱業公社(ENAMI)より、サラレス・アルトアンディノス・リチウム・プロジェクトにおける優先パートナーとして正式に選定されました。このプロジェクトでは、リオティントが51%の株式を取得し、ENAMIが残りの49%を保有する予定です。この提携により、リオティントはアルカディウム・リチウムの買収で得た資産と合わせて、世界有数の優良リチウム資産ポートフォリオを構築し、グローバルなリチウム供給の中核を担う存在としての地位をさらに強化します。

 

 

 

西オーストラリア州で鉄鉱石プロジェクトを拡大 — 宝武鋼鉄集団およびハンコック・プロスペクティングとの連携強化

 

リオティントは、西オーストラリア州ピルバラ地域において、2つの大規模鉄鉱石プロジェクトを通じて、同地域における長期的な資源供給体制の強化を進めています。

ひとつは、中国の宝武鋼鉄集団との合弁事業によるウェスタン・レンジ鉱山の操業開始です。ウェスタン・レンジは、年間最大2,500万トンの鉄鉱石を生産する能力を持ち、既存のパラバドゥ鉱山の操業を今後20年間支えると見込まれています。総額20億ドルが投じられた本プロジェクトは、リオティントが54%、宝武が46%を出資し、一次破砕設備や18キロメートルに及ぶ新設コンベヤーシステムの整備も含まれています。 

もうひとつは、ハンコック・プロスペクティングと共同で開発するホープ・ダウンズ2プロジェクトです。両社は、ホープ・ダウンズ2およびベッデッドヒルトップ鉱床の開発に向けて、総額16億ドル(うちリオティント負担分は8億ドル)を投資することを決定しました。すでに必要な政府認可を取得しており、2027年の生産開始を目指しています。年間3,100万トンの生産能力が見込まれ、採掘された鉄鉱石はホープ・ダウンズ1の既存処理施設で処理される予定です。ウェスタン・レンジとホープ・ダウンズ2は、リオティントがピルバラ地域で推進する代替鉱山開発の一環であり、これらの代替プロジェクト全体で年間約1億3,000万トンの生産能力を有する見込みです。

 

 

 

NeoSmeltプロジェクト、オーストラリア連邦政府支援および新パートナーを獲得日本語リリース

 

リオティントが参画する、ピルバラ鉄鉱石を用いた低炭素銑鉄生産プロジェクトNeoSmeltが、オーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)から1,980万豪ドルの支援を受けることが決定しました。これにより、西オーストラリア州クウィナナでのパイロットプラント建設に向けたフロントエンドエンジニアリングデザイン(FEED)スタディが本格化します。

NeoSmeltは、資源、エネルギーそして製造関連企業のコンソーシアムとしてブルースコープ、BHP、リオティントにより設立され、今回新たにウッドサイド・エナジーとMitsui Iron Ore Developmentが加わり、5社が同等の権益を保有する体制となりました。プロジェクトでは、ピルバラ産鉄鉱石を原料に、直接還元鉄(DRI)と電気製錬炉(ESF)を組み合わせた低炭素排出の銑鉄生産を実証します。この手法が実証されれば、従来の高炉製鉄プロセスに代わる長期的な代替手段を提供し、オーストラリアの鉄鉱石産業の持続性が確保される可能性があります。初期段階では鉄鉱石の還元に天然ガスを使用しますが、将来的には水素へ切り替えることを目指しています。2026年の最終投資決定を目指し、鉄鋼生産の脱炭素化に向けた重要な一歩が踏み出されています。