炭素排出量ゼロのアルミニウム製錬、一歩前へ アルミニウム製造の画期的な方法

2022/03/01

責任をもってアルミニウムを製造する際の課題のひとつは、その製造方法を脱炭素化するしかたを見つけることです。

アルミニウムは軽量の自動車やエネルギー効率の良い建築物といった低炭素なソリューションになくてはならないものですが、その製造には多くのエネルギーが必要です。

2018年、当社はアルコア社とパートナーシップを結び、アップル社、カナダ政府、ケベック州政府から支援を受けて、温室効果ガスを排出しない画期的なアルミニウム製錬技術の開発を進める合弁事業エリシスを設立しました。この技術は、従来のアルミニウム製錬工程から直接排出される温室効果ガスをすべての除き代わりに純粋な酸素を発生させるというものです。

炭素排出を大幅に削減することでアルミニウム業界を変革する可能性を秘めています。カナダでだけでも、エリシスの技術をすると温室効果ガスを650万メートルトン削減できる可能性があります。これは、180万台の自動車が走行をやめるのに匹敵します。

この技術は既存の製錬所に組み込まれて、または新規の製錬所において、使われます。生産能力を向上させながらアルミニウム製錬所の運営コストも削減できると期待されています。

さらに重要なことは、アルミニウムを購入した企業が、そのサプライチェーンにおいて炭素排出を低減することをも後押しします。これは近年高まる消費者の声に呼応するものです。エリシス技術の研究中、開発中に作られたアルミニウムは、アップルのほか、ABインベブによりビール「ミケロブ・ウルトラ」の缶に、アウディにはeトロンGTのタイヤホイールに、すでに使用されています。

 

手を取り合って気候変動とたたかう

気候変動対策は、当社のお客様とサプライチェーンに関係するすべてが直面している最大の課題のひとつです。有意義な前進をするためには組織化された努力が必要です。

炭素排出にはじまり採掘時の残渣から重要な鉱物を抽出することまで、環境、社会、ガバナンスの広範囲において、お客様のニーズに応えて炭素排出量を減らす、その両方のために、当社はさまざまな研究開発とサプライチェーンのパートナーシップを結んでいます。

 

進歩を続ける

2021年11月、エリシスはカナダのケベック州サグネにある産業研究開発センターで、直接的な温室効果ガスを一切出さないアルミニウム製造に成功するという、目標のひとつを達成しました。この技術を商用規模で使えるようになるには、しかし、まだ為すべきことがたくさんあります。

いまは、2023年にさらに大きな商用サイズのセルを使った運用に向け、技術のスケールアップを推進することに注力しています。
これらのセルのプロトタイプの建設はアルマ・アルミニウム製錬所で順調に進んでいます。製錬用セルは、多くの大型で最新のアルミニウム製錬所の商用サイズ、450kAの電流で動作します。これら産業用のセルは、既存の精錬所を改造したり新しく精錬所を建設したりする際の“ドロップ・イン”の代替物として使えるよう設計されていて、必要に応じて拡張できます。

エリシスは、現在の開発計画では2024年から施工を開始してその約2年後に炭素排出のないアルミニウムの大規模生産をめざしています。

(※ 記事中の組織名、肩書等は記事作成当時のものです)