ひとつながりの鉱業
鉱山で採掘する鉱石や金属を最大限活用します

2022/02/11

過去数十年間にわたり、リオティントの科学者とエンジニアは、鉱山から排出される廃棄物(注釈:主に鉱石を処理し、有用鉱物を分離回収したあとに出る尾鉱やテーリングなど)の削減方法を懸命に模索してきました。どうやって?鉱山から採掘したすべての金属の活用方法を発見し、また金属加工事業で産出される副産物も活用します。

 

廃棄物を完全に削減するためにすべきことはまだ多くありますが、私たちは進歩を続けています。

 

廃棄物から貴重な鉱物を抽出すること、または廃棄物自体から新たな製品を生み出すことで、リオティントは埋め立てに回される廃棄物の量を削減し、役に立つ製品を作り、新たな収入源を生み出し、当社顧客の持続可能性関連の目標の達成をサポートできます。

 

「当社は採掘をおこなう鉱体を正しく管理する必要があります。既存の鉱体と尾鉱は、未来の資源になる可能性があります。つまり、これまで生産してきた従来製品よりも多くのものを抽出するにはどうすればいいか、といった、鉱業の価値をフルに生かす“フル・バリュー・マイニング”という考え方に立脚するのです。この分野でやっているなかで、すでにいくつか好事例が生まれています。それらを足掛かりに、進めてゆくことができます」。 — リオティント主任科学者 ナイジェル・スチュワード

 

当社が廃棄物から抽出する6つの有用な鉱石や金属を紹介しましょう。

 

1.リチウム

アメリカ・カリフォルニア州のホウ素事業では、90年にわたるホウ酸塩採掘によって排出された廃石からリチウムを抽出するプロセスをテストしています。当社の実証プラントが成功した場合、リチウムの生産量を年間5000トンに増やすことができ、これは電気自動車およそ7万台分のバッテリーを製造するのに十分な量です。

 

2.スカンジウム

カナダのソレル・トレーシーにあるリオティントのクリティカルミネラル技術センターの科学者たちは、酸化チタン製品の製造で排出される廃棄物から高品質な酸化スカンジウムを抽出する方法を発見しました。アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの国から「クリティカルミネラル」と考えられているスカンジウムは、航空宇宙業界、防衛業界、固体酸化物形燃料電池などのクリーンエネルギー技術などさまざまな業界で使用されています。当社は現在商業規模の実証プラントをテストしていて、世界市場の約20%に当たる量を供給することが可能です。

 

3.テルル

アメリカ・ユタ州のケネコット銅事業で、銅精製プロセスから年間約20トンのテルルを回収する施設を建設しています。また、銅の製錬プロセスと選鉱プロセスでは金、銀、炭酸鉛、プラチナ、パラジウム、セレン、モリブデンの7つの鉱物や金属も抽出されます。地球で最も珍しい元素のひとつ、テルルは、太陽光を効率よく電気に変換するため、太陽光パネルの薄いフィルムの製造に用いられます。またテルルを鉄鋼や銅に加えることで切断が容易に、より丈夫になります。

 

4.Alextra

リオティントは、持続可能な建築資材大手企業、Lafarge Canadaと協力し、新しいセメント製品のAlextraを開発しました。Alextraは、アルミナをアルミニウムにする電解プロセスの一環として使用した一連の電解槽を安全処理したものから生産されます。こんにちでは、ケベック州を拠点とするアルミニウム事業で排出される一連の電解槽廃棄物はすべて安全処理されており、約80%が新たな製品へとリサイクルされます。

 

  1. 硬石膏

カナダのケベック州サグネ・ラック・サン・ジャン地域において、当社は硬石膏から安全で効率のよい肥料を製造するため、ブルーベリー生産農家と協力しています。硬石膏は通常岩石に含まれていますが、当社はカナダのケベック州でのアルミニウム生産プロセスの副産物として、年間およそ8万5000トンを生産しています。

 

6.モナザイト

リオティントのQIT Madagascar Minerals事業ではモナザイトの抽出によって年間約2万5,000トンの砂による追加の価値が創出され、当社の主要製品であり酸化チタンの生産に用いられるイルメナイトに加算されます。モナザイトは電気自動車や風力タービン用の重量のあるマグネットなど多くの用途に用いられる希土類鉱物です。

 

 

リオティントの循環経済への貢献方法

循環経済は、鉱石と金属の再利用や廃棄物のデザインを通じた限りある資源の消費削減に基づいています。 

 

廃棄物から製品を生み出す当社の有効化業務は、循環経済に貢献するためのひとつの方法です。当社はまた、鉱石や金属をリサイクルできる方法にも目を向けています。アメリカのケネコット銅事業では金属くずをリサイクルしていて、2018年には6,400戸の新築住居で使用する電線を供給するのに十分な量をリサイクルしました。また、カナダやアメリカでは当社のアルミニウムを購入しているお客様へ、リサイクルされた物質から生産した高品質な合金を提供しています。

 

しかし当社にはまだやるべきことが多く残っています。業界や学識経験者と提携しさまざまな課題に取り組んでいます。たとえばオーストラリアではクイーンズランド大学の持続可能な鉱物資源研究所と提携し、ボーキサイトをアルミニウムの主原料であるアルミナに精製する際に排出される赤泥と呼ばれる廃棄物を回収する技術を開発しています。

 

 

ステファンについて

新製品の開発者であり廃棄物の“トランスフォーマー”(変換する者)

ステファンは廃棄物の新たな活用方法を発見する業務を担うチームの一員です。 

 

地球に優しくすることは、ステファンの人生において常に大きな意味を持っています。何も無駄にしてはいけない、と教えられて育ちました。リサイクルと堆肥化はステファンの習慣となり、「家庭で廃棄物が容認されないのならば、職場でも容認されるはずがないだろう」と考えるようになりました。

 

ステファンは現在、カナダのケベック州サグネ・ラック・サン・ジャンを拠点とする当社アルミニウム事業の環境と持続可能性チームのリーダーとして、その役割に持続可能性への情熱を注いでいます。彼は多分野の専門家からなるチームと一緒に産業廃棄物の排出削減や産業廃棄物を新たな製品へと生まれ変わらせる方法の発見に注力しています。

 

「私たちが持続可能な社会を築かなければ、次の世代に何も残らない日がいつかくるでしょう」。

 

 

クリティカル・ミネラルとは何ですか?

クリティカル・ミネラルは、入手が難しいものの重要な用途を持つ鉱石や金属です。クリティカル・ミネラルの多くはスマートフォンやラップ・トップ・コンピューターなどのハイテク装置や電気自動車用バッテリーなどのグリーン・エネルギー技術で用いられます。アメリカではエネルギー省の重要物質局と提携して、経済的な方法で副産物のクリティカル・ミネラルを回収する方法を模索しています。

 

 

(※ 記事中の組織名、肩書等は記事作成当時のものです)