オーストラリア最大の鉄鉱石サプライヤーが鉄鋼の脱炭素でブルースコープと提携
2024/02/09
オーストラリア最大の鉄鉱石サプライヤー2社と同国最大の鉄鋼メーカーは、鉄鋼製造の脱炭素化を加速させるため、オーストラリア初の製鉄用電気製錬炉1(ESF)パイロットプラントの開発に向け、共同で調査することに合意しました。
リオティント、BHP、ブルースコープは、新たな枠組み契約に基づき、BHPとリオティントのピルバラ鉄鉱石に関する深い知識と、ブルースコープのESF技術における独自の操業経験を活用し、各社がこれまでに完了した成果を統合させます。
この協業は、パイロットプラントの開発および将来的な投資への基盤を提供するもので、直接還元鉄(DRI)プロセス技術と組み合わせることで、再生可能エネルギーを用いたピルバラ鉱石からの銑鉄生産が可能であることを実証するものです。これが成功すれば、世界の鉄鋼需要に応えるためにオーストラリアの鉄鉱石に依存している鉄鋼メーカーにとって、温室効果ガス排出量がほぼゼロに近い操業実現への道が開けることになります。
3社は、パイロットプラント建設のためオーストラリア国内のいくつかの候補地を審査し、インフラ、就労可能な人員、対象となる業界やサプライチェーン・パートナーへのアクセス、操業試験への適合性などの要素を検討します。これらの事前事業化調査は、年内に完了する予定で、承認されれば、パイロットプラントは2027年早々に稼働される見通しです。
リオティント鉄鉱石部門のチーフ・エグゼクティブであるサイモン・トロットは、次のように述べています:
「銑鉄と鋼鉄を生産する際の炭素排出原単位は、世界の需要と気候変動目標達成を両立するために大きく変わる必要があります。私たちは、技術を活用することで、これらの素材を持続可能な方法で生産するより良い方法を見つけなければいけません。
この規模の課題に取り組むには業界内での協力が最善策であると確信しており、この新たな提携は、ブルースコープと既に2年以上にわたって進めてきたこの技術に関する取り組みをさらに深化させるものです。このパートナーシップは、リオティントとBHPのピルバラ鉱石に関する比類なき経験と、ブルースコープの鉄鋼生産に対する技術力および独自の操業知識が結実したものとなるはずです。顧客やサプライヤーと進めている一連のプロジェクトにこのパートナーシップが加わることは大変喜ばしく、私たちは脱炭素目標の達成に向けた取り組みを加速させるべく、より良い方法の探求にも注力しています」。
BHPの次期西豪州鉄鉱石(WAIO)アセットプレジデント ティム・デイは、次のように述べています:
「リオティント、ブルースコープと提携することで、鉄鋼生産における炭素排出量削減の飛躍的な進展に大きな期待を寄せています。このような協力関係は、これらの技術が成功裏に開発されるために非常に重要であり、我々の高炉削減の努力や、世界中の大手鉄鋼メーカー、研究機関、テクノロジープロバイダーとの継続的な研究開発プロジェクトを後押しするものです。
我々の専門知識を組み合わせることで、ピルバラ鉱石を使用する鉄鋼メーカーが、ゼロに近い排出原単位の達成へ最短の道筋をたどることができるよう支援したいと思います。再生可能エネルギーを利用でき、数億トン規模の鉄鋼生産に拡張可能な技術は、ピルバラ鉱石のみならず、世界を温室効果ガス排出の少ない未来へと導く大きな一歩となるでしょう」。
ブルースコープのオーストラリア担当チーフ・エグゼクティブ タニア・アーチボルドは、次のように述べています:
「当社には、近代的で活気溢れるサステナブルな鉄鋼メーカーとして、オーストラリアがエネルギー転換していく上で明確な役割を果たすという確固たるビジョンがあります。 オーストラリアにおける低排出原単位の製銑・製鋼への道筋を築くことは、当社の事業にとって最優先事項です。リオティント、BHPとの提携を通じて、製銑プロセスの脱炭素化を追求し、また鉄鉱石資源と再生可能エネルギーの豊かな可能性という、オーストラリアの恵まれた環境を活用できるのではないかと期待しています。
DRIは、オーストラリアでの事業を脱炭素化するために最も有望な技術であり、またESF技術の開発は、この脱炭素化への道においてオーストラリア独自の優位性を引き出す鍵だと考えています。さらに重要なことは、この技術が世界の鉄鋼業界全体に広く適応し得るものだということです。この提携において当社のESF操業のユニークな経験が役に立ち、いかにしてピルバラ鉱石を活用しながら低排出原単位の銑鉄を生産するかという問いに解決策をもたらすことができると信じています」。
1業界内では「電気メルター」とも呼ばれる。
ご参考:
パイロット電気製錬炉(ESF)
パイロットプラントは、炭素排出量の削減を目指して大手鉄鋼メーカーや技術会社が開発を進めている、ESFによる銑鉄生産を試験し、最適化することを目的としています。ESFは、転炉プロセスに適した銑鉄を生産することができます。鉄鉱石はまず直接還元鉄(DRI)に変換され、ESFに装入されます。DRI、ESF装置を併用することで高炉を代用でき、原料炭が不要となります。試算によると、ピルバラ鉄鉱石をDRI-ESF経由で銑鉄にする場合、従来の高炉法の業界平均と比較して、CO2排出原単位を80%以上削減できる可能性があります。
電炉のような他のCO2排出原単位の低い生産方法では、鉄スクラップと高品位鉄鉱石から生産されるDRIが必要となります。ESFは投入する原料の品位という点において柔軟性が高いため、低炭素排出技術を広める際の大きな障壁をひとつなくすことができます。ESFはまた、製鉄所の既存の下流生産部門に統合できる可能性もあります。
※本リリースは、オーストラリアにて発表された、リオティント、BHP、ブルースコープによる共同プレスリリースの翻訳版です。
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リオティントについて:
リオティントは、世界35カ国で事業を展開する大手資源会社です。鉄鉱石、銅、アルミニウム、リチウムなど、人々、地域社会、国家の成長と繁栄、そして二酸化炭素排出量のネットゼロを実現するために世界が求める素材を、よりよい形で生産、供給しています。リオティントにとって、日本は最も重要かつ長期にわたるパートナーの一つであり、また、日本にとってはリオティントが金属・鉱物の最大のサプライヤーの一社です。
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