低炭素アルミが変える輸送ソリューションの未来
2024/08/27
リオティントの丸紅とのパートナーシップは、ヤマハ発動機を含む様々な企業の低炭素アルミの需要に対応しています。
アルミは丈夫で軽量な金属として、飲料缶や構造材への使用でよく知られ、バイクや自動車のような乗り物での需要が増加しています。
アルミによる部品はバイクの総重量の12%から31%を占めるため、低炭素アルミの採用は、製品のライフサイクルの中で、原材料製造工程の温室効果ガス(GHG)排出量を削減するための有効なアプローチのひとつです。
エンドユーザーは、これまで以上にアルミ生産が環境に与える影響を理解し、配慮しています。
リオティントは総合商社の丸紅と協力し、大手輸送用機器メーカーヤマハ発動機などに低炭素アルミを供給し、より持続可能な輸送ソリューションの実現を目指しています。
これは、リオティントと丸紅のパートナーシップの一環であり、採掘工程からのトレーサビリティ情報を持つ低炭素アルミを、日本のメーカーに持続的かつ安定的な形で供給することを目的としています。
なぜ低炭素アルミが必要なのか
アルミは、軽自動車などを含め低炭素ソリューションに不可欠であり、世界の再生可能エネルギーへの移行に伴い、その需要は高まる一方です。
しかし、アルミの生産には多くのエネルギーも必要です。そのため、アルミを責任ある形で生産するための課題のひとつは、使用するエネルギーの脱炭素化です。
1971年から操業しているニュージーランドアルミニウム製錬所(NZAS)は、再生可能な水力発電を利用してアルミナをアルミニウムに変換しており、世界で最もGHG排出量が少ないアルミニウム製錬所のひとつとなっています。
NZASは毎年、世界で最も低炭素で高純度のアルミを33万トン以上生産しています。この工程で排出されるGHGは、アルミニウム1トンあたりわずか2トンであり、1トンあたり13トンという国際平均をはるかに下回っています。
また、低炭素アルミを世界に供給し続けるため、NZASは2024年5月、20年間の電力契約を締結しました。
NZASではどのようにして低炭素アルミを生産しているのか
私たちは、ボーキサイトと呼ばれる鉱石から3段階の工程を経てアルミを生産しています。
NZASで加工されるボーキサイトは、クイーンズランド州北部と西オーストラリア州で採掘された後、精錬所に運ばれ、そこでアルミナと呼ばれる微粉末に加工されます。
そこから船でニュージーランド南部のティワイ・ポイント(インバーカーギル近郊)に運ばれ、そこでアルミナからアルミニウムに製錬されます。製錬工程は主に水力発電でまかなわれており、その電力の多くはマナポウリ発電所から供給され、送電網を通じて製錬所に送られます。
ヤマハ発動機のバイクにトレーサビリティのある低炭素アルミを供給する方法
2016年、リオティントは低炭素アルミブランドRenewAlTM を立ち上げました。RenewAlTMは、アルミニウム1トンあたりの生産時に排出されるGHGが4トン未満であることが第三者によって保証された高純度アルミニウムです。
NZASの製造工程で水力発電を利用することで、ヤマハ発動機のバイクに供給されるアルミにはRenewAlTM 認証が付与されています。
また、データを駆使したトレーサビリティ・プラットフォームのSTARTTMにより、ヤマハ発動機のバイクに使われているアルミがNZASで製錬されたものであることが可視化されます。STARTTMのサステナビリティ・ラベルは、アルミがどのように生産されたのか、またどこで生産されたのかについての詳細な情報を提供するもので、出荷オーダーごとに最大14のESG指標(例えばGHG排出量、水の使用量、安全性能)を提供します。
2022年、リオティントと丸紅は、日本の製造業に対する責任あるアルミの持続的かつ安定的な形で供給するための業務提携を締結しました。丸紅の広範な取引ネットワークおよび販売力を活用し、低炭素アルミを円滑に供給します。
気候変動に関する目標達成を共に目指すパートナーシップ
2050年までにカーボンニュートラルを達成するというヤマハ発動機の目標と、2050年までにGHG排出量をネット・ゼロにするという丸紅の目標は、同じく2050年までに事業活動から排出されるGHGをネット・ゼロにするという当社の目標と合致しています。
リオティントは、丸紅、ヤマハ発動機と協力することで、責任ある形で生産された製品を求める消費者の需要に応え、製品バリューチェーンの脱炭素化を進めることができると考えています。
当社のアルミは、リアフレームなどの部品を含め、ヤマハ発動機のバイクのボディに使用されています。