画期的な鉄鋼生産の脱炭素化プロジェクト、NeoSmeltがオーストラリア連邦政府の支援を獲得し、新たに2社が参加
2025/06/17
ピルバラ鉄鉱石を用いた低炭素排出技術による銑鉄生産1の実現を目指す資源、エネルギーそして製造関連企業のコンソーシアム「NeoSmelt(ネオスメルト)」は、西オーストラリア州におけるパイロットプラントの建設に対して、オーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)からの支援を受けることが決定したことを発表しました。
また、ブルースコープ、BHP、リオティントの3社により設立されたNeoSmeltジョイントベンチャーには、新たにWoodside Energy(ウッドサイドエナジー)とMitsui Iron Ore Developmentが出資パートナーとして加わり、5社がそれぞれ同等の権益を保有することとなりました。
NeoSmeltは、ブルースコープが運営し、パース南部のクウィナナ工業地区において、西オーストラリア州産の鉄鉱石を用いた低炭素排出の銑鉄生産手法を実証することを目的として、オーストラリア最大規模となる製鉄用電気製錬炉2(ESF)のパイロットプラントの開発を計画しています。
ARENAは、同プロジェクトに対し、1,980万豪ドルの支援を通じてフロントエンドエンジニアリングデザイン(FEED)スタディをサポートします。同プロジェクトでは、ピルバラ産鉄鉱石を原料に、直接還元鉄(DRI)とESFを組み合わせたプロセス(DRI–ESF)により低炭素排出3の銑鉄生産を実証することを目指しています。
この手法が実証されれば、従来の高炉製鉄プロセスに代わる長期的な代替手段を提供し、オーストラリアの鉄鉱石産業の持続性が確保される可能性があります。
現在、プロジェクトは実現可能性調査段階に入っており、2026年の最終投資決定に向けた検討が進められています。
優先的なエネルギー供給パートナーとしてウッドサイドエナジーが選定され、パイロットプラントの初期段階では天然ガスを用いて鉄鉱石を還元してDRIを生産する予定です。操業開始後は、より二酸化炭素排出量の少ない水素による還元への切り替えを目指しています。
詳しくは英語リリースをご覧ください。
1従来の高炉–転炉(BF–BOF)プロセスと比較して。
2業界内では「電気メルター」とも呼ばれる。
3低炭素とは、例えば、類似の資源、プロセス、生産施設、製品、サービス、活動など、過去または現在のやり方、類似のものなどと比較して、関連する潜在的な温室効果ガス排出量が低いことを意味する。