世界最大級のロボットが完成に至ったみちのり ビッグデータから初の自律運行鉄道まで。イノベーションはリオティントの“DNAの一部”です

2022/02/07

巨大ロボットといえば、人類の監視や保護を行うトランスフォーマーのような巨大メカだったり、長い間子供向けのファンタジーやハリウッド超大作の中の存在でした。

 

そんなSF映画のような空想の産物が、2018年7月に一気に現実のものへと近づきました。発展のみちのりの重要な節目となった、自律運行鉄道による初めての鉄鉱石の運搬が西オーストラリア州ピルバラ地区でおこなわれたのです。

 

機関車3台から成り約2万8,000トンの鉄鉱石を運搬する自律運行鉄道は、当社のトム・プライス鉱山からケープ・ランバート港まで、280kmを超える距離を走行しました。1,500km以上離れたパースにある当社のオペレーション・センターから、オペレーターが遠隔で監視をおこないました。

 

オペレーション・センターのオートホール(AutoHaul™)チームは、自律運行技術をさらに向上させるべく数千時間におよぶ走行試験を実施しました。2019年6月に完全な運行が実現して、オートホール・プロジェクトは世界初の長距離重輸送完全自律運行鉄道網となったのです。

 

同プロジェクトの主席エンジニア、リード・コスタは、この鉄道はルートが設定された後は鉄道車両みずからが判断をおこなうことができる本物の巨大自律運行ロボットだと話します。「ルートの設定は(ピルバラから1,500kmも離れた)パースにあるオペレーション・センターの運行担当者がしますが、車両に搭載されたコンピューターが起動してオペレーション・センターのコンピューターから切り替わると、みずから判断をおこなうようになります」。

 

リードは続けます。「コンピューター・ネットワークのおかげで、この鉄道車両は制限速度を守り衝突事故も起こしません。また、踏切内は障害物がない状態に保たれます」。「人々や車両を保護するために、他にもたくさんの装置が搭載されています。例えば、車輪ひとつに不具合が生じたら車両は止まります。車両連結部のひとつが壊れてもシステムがこれを感知し、車両は停止します」。

 

より安全で、より効率的な走行

 

手動での鉄道運行から完全自律運行システムに切り替える主なメリットは、安全性と効率です。

 

手動の運行システムでは、1人の運転士がシフトを終えて別の運転士が乗車するために毎回車両を停止させる必要があります。鉱山から港まで鉄鉱石を運搬する車両は、全長2.4kmです。1回の走行で基本的に3回車両を停止させることになり、1時間以上余分に時間がかかってしまいます。

 

「鉄道網は採掘事業の中核なので、時間を節約するメリットはとても大きい。停止が必要がなければ鉄道網を休みなく稼働させることができ、より多くの鉄鉱石を港に運搬することができてより効率的に輸出することが可能です」と、リードは言います。

 

「もう1つの主なメリットは安全性です。シフト交代の際、運転士が車両への往復に費やす移動距離は年間で150万kmにもなります。私たちはこの時間削減に取り組んでいます。自律運行鉄道によって大幅に減らすことができるでしょう」。

 

リードは40年以上鉄道技術に携わってきました。1990年代にスペインのマドリードとセビリアを結ぶ高速鉄道を建設したチームにいました。その後フランクフルトの地下鉄ネットワーク構築に携わり、パース~マンジュラ間の鉄道建設では主席エンジニアを務めました。

 

自律運行鉄道の実現は、リードにとてつもない満足感をもたらしています。「イノベーションや世界初の技術という観点からみて、これは私が携わってきた中で間違いなく最も刺激的なプロジェクトです。私のキャリアのハイライトともいえます」。

 

 

 

(※ 記事中の組織名、肩書等は記事作成当時のものです)