リオティントの脱炭素への取組み

2023/11/08

鉄鉱石

BioIron

リオティントは、ドイツの小規模パイロットプラントで、オーストラリアの自社鉱山から産出される鉄鉱石を用いた低炭素製鉄プロセスの有効性を実証しました。BioIron™と呼ばれるこのプロセスは、製鉄プロセスにおいてピルバラ鉄鉱石を金属鉄にするために、還元剤として原料炭の代わりに農業副産物などのリグノセルロース系バイオマスを使用します。バイオマスは鉄鉱石と混合され、放出される燃焼ガスと再生可能エネルギーで駆動する高効率のマイクロ波を組み合わせて加熱することにより、CO2 の排出がゼロに近い製鉄工程を実現することを目指します。今後は 1 時間当たり 1 トンの処理能力を持つ特別設計の連続パイロットプラントで、より大規模な実証試験を行う予定です。

 

 

アルミニウム

 

RenewAl™

リオティントのアルミニウム製錬事業の大きな特徴として、カナダやニュージーランド、オーストラリア、アイスランドで豊富な水力電源を保有または長期の電力契約をもっており、そのため使用する電力の約8割が再生可能エネルギーとなっています。この特徴を活かし、2016年にはアルミ1トンあたりのカーボンフットプリントを4トンCO²e以下で保証する※、世界初の第三者認証付き低炭素アルミブランド、RenewAlの供給を開始しました。4トンCO²eは、世界平均と比べ、約66%低い水準です。日本はアルミ新地金を100%海外から輸入しています。ユーザーにとって、輸入されるアルミ原料をより低炭素なものに転換する選択肢となっています。

※アルミニウム製錬所におけるScope 1 & 2

 

 

 

 

ELYSIS™

2018年、リオティントはアップル、カナダ政府およびケベック州政府の支援を受け、アルコアとELYSISのジョイントベンチャーを発表しました。ELYSISは、従来の炭素電極に代わり不活性電極を用いることで、アルミニウム製錬工程における一切のCO²の排出を無くし、副産物として酸素のみを生み出す世界初の技術です。100年を超えるアルミの歴史の中で、最も革新的なこの技術は業界が長く待ち望んでいたものです。2024年の商業化をめざし、ケベック州で新しい研究開発施設が稼働し、またリオティントのAlma製錬所の電解ラインで設備を実装して最新の操業環境でパフォーマンスを検証する段階に入っています。

 

 

グラッドストン水素パイロットプラント

リオティントは、住友商事とオーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)との提携により、オーストラリア、クイーンズランド州のグラッドストンに位置するヤーワン・アルミナ精製所内に、2.5MWの水素製造パイロットプラントを建設することを発表しました。このプログラムにより、アルミナ精製プロセスの煆焼工程において、従来の天然ガスの代替として水素が利用できることを実証できます。具体的には、同精製所内に水素プラントを建設、また既存の4基の煆焼炉のうち1基を水素バーナーで運転できるように改良し、環境に優しいグリーン水素の有効活用を推進します。この取り組みが成功し、同精製所全体がグリーン水素の使用に転換されると、年間50万トンのCO²排出削減が見込まれます。これは約10万9,000台の内燃エンジン自動車の排出量に相当します。水素プラントと煆焼炉は2024年に改良作業に着工し、2025年までに稼働する予定です。

 

 

ケネコット銅鉱山における持続可能なエネルギー・ソリューションへの転換

石炭火力発電所の閉鎖と再生可能エネルギー証書:

持続可能なエネルギー・ソリューションへの転換は、アメリカのケネコット銅鉱山にとって優先事項です。同鉱山は2019年に石炭火力発電所を閉鎖し、さらには再エネ証書を使用して、再生可能エネルギーで発電された電力の利用に切り替えました。その結果、全体のカーボンフットプリントは65%減少し、年間の二酸化炭素排出は100万トン以上削減されました。

 

太陽光発電所

2023年には、同鉱山で5メガワットの太陽光発電所の建設を完了しました。この発電所には12,800枚のソーラーパネルが設置され、同地での操業において年間3,000トンの二酸化炭素排出量を削減します。将来的には、ケネコットの太陽エネルギー供給を拡大するためのパイロット・プロジェクトとして活用される予定です。

 

 

リチウム

リンコン・リチウム・プロジェクト

リンコン・リチウム・プロジェクトは、アルゼンチンの「リチウム・トライアングル」に位置する、未開発の大規模なリチウム生産プロジェクトです。

エネルギー転換に必要な高品質のリチウムを、比較的短期間で供給できる貴重な資源となります。原料となるかん水からバッテリーグレードの炭酸リチウムを長期にわたって生産でき、拡張も可能なこのプロジェクトは、2050年までに当社の目標であるネット・ゼロを達成しつつ、世界のエネルギー産業にこの重要な資源を供給する役割を果たします。

 

チタン

BlueSmelting™

リオティント・アイアン・アンド・チタニウム(RTIT)ケベックオペレーションでは、カナダ政府とのパートナシップにより、従来の還元プロセスに比べ二酸化炭素の排出を95%削減できる BlueSmelting プロジェクトに取り組んでいます。2023年4月、新たな製錬技術を用いてイルメナイト鉱石を還元する実証プラントをケベック州ソレルトレーシーのRTIT冶金工場で始動させました。これにより二酸化炭素排出量を大幅に削減した高品位の二酸化チタン原料、鉄鋼、金属粉を生産することが可能となり、また、商業生産に向けた技術の確立がなされるとRTITケベックオペレーションでのCO²排出量の70%を削減することができます。これは、年間約145,000台の車が排出する二酸化炭素に相当します。

 

ホウ素

ホウ素再生可能ディーゼルへの移行

カリフォルニア州ボロンにあるリオティントのホウ素事業U.S.ボラックスでは、露天掘り鉱山で初めて重機や車両の燃料を再生可能ディーゼルに完全移行することに成功しました。ディーゼルは鉱山業界で一般的な燃料ですが、同時に二酸化炭素を大量に排出します。2022年にNesteとロールス・ロイスとの協業で行われた実証試験では、使用済み食用油や廃棄される動物性脂肪など、100%再生可能な原料から作られたバイオ燃料“Neste MY Renewable Diesel™”が使用され、再生可能ディーゼルにおいても、従来の石油系ディーゼルと同様の走行性能を発揮することが実証されました。この完全移行により、従来の化石燃料と比較してライフサイクル全体で温室効果ガスの排出を最大75%削減することができます。