Sustainability Update / Mar – Apr 2025
2025/05/09
リオティントとエディファイ・エナジー、新たな太陽光・蓄電契約を締結:グラッドストン事業の再エネシフトを加速(日本語リリース)
リオティントは、オーストラリアの再生可能エネルギー開発企業エディファイ・エナジー(Edify Energy)と、クイーンズランド州グラッドストンにおけるアルミニウム事業への安定的かつ競争力のある電力供給を強化するため、2件の太陽光発電・蓄電ハイブリッドサービス契約(HSA)を新たに締結しました。本プロジェクトは2025年末に着工し、2028年の完工を予定しています。
プロジェクトには合計600MWacの太陽光発電設備と、600MW / 2,400MWhの蓄電システムが含まれており、発電と蓄電を組み合わせることで、安定性と柔軟性を兼ね備えた電力供給体制の構築が可能になります。リオティントは同プロジェクトで発電・蓄電される電力の90%を20年間にわたり購入します。2024年に発表した、グラッドストン事業向けの2.2GW規模の風力・太陽光発電に関する電力購入契約(PPA)に続き重要な取り組みです。
これら4件の契約を合わせると、リオティントがクイーンズランド州で確保する再生可能エネルギー容量は2.7GWに達し、ボイン・アルミニウム製錬所の年間平均電力需要の約80%を再生可能エネルギーで賄うことが可能となります。これにより、同製錬所におけるスコープ1およびスコープ2の温室効果ガス排出量を約70%削減できるとされており、リオティントの「2050年までに事業全体でのネット・ゼロ排出を達成する」という目標に向けた大きな前進となります
(注)リオティントのアルミニウム製錬の重要拠点であるボイン・アルミニウム製錬所は、日本企業とのパートナーシップにより運営されており、日本市場向けにも多くのアルミニウム製品を出荷しています。製品の環境価値が高まることで、グローバル市場における競争力強化にもつながることが期待されます。
リオティント、水素活用の製鉄プラント実現に向け協力(日本語リリース)
リオティントは、鉄鉱石の品質および処理に関する深い専門知識を活かし、プライメタルズテクノロジー、フェストアルピーネ、三菱商事と連携して、水素を活用した次世代製銑技術の実証プロジェクトに参画します。本プロジェクトは、オーストリア・リンツのフェストアルピーネ製鉄所内にて、水素を用いて鉄鉱石から還元鉄を製造する新技術(HYFOR)および製鉄用電気製錬炉(スメルター)を組み合わせた実証プラントを建設・稼働させるもので、2027年中頃の稼働開始が予定されています。
リオティントは、このプラントで使用される鉄鉱石の約70%を世界中の事業拠点から供給し、技術的なアドバイスや新技術の商業化促進においても重要な役割を担っています。今後は、カナダのIOCや将来的にギニアのシマンドゥなどからの鉄鉱石供給も視野に入れており、広範な供給ネットワークを活用して本技術の実装と普及を支援します。
この革新的なプロセスには、従来の製銑技術と比較してCO₂排出量を大幅に削減できる複数の要因があります。第一に、従来の高炉製銑では石炭を燃焼させることで大量のCO₂が発生していましたが、本プロジェクトでは代替として水素を使用するため、鉄鉱石との反応で発生するのはCO₂ではなく水蒸気となります。第二に、HYFOR技術では鉄鉱石をペレット化する事前処理が不要であり、この工程に伴うエネルギー消費とCO₂排出を回避できます。さらに、還元後の鉄を溶解するスメルターにも再生可能電力を用いることで、製銑工程全体の脱炭素化をさらに推進します。
これらの特長により、本プロジェクトは鉄鋼業界において、原料の前処理を必要としない、シャフト炉に代わる有力な選択肢を提供します。リオティントは、鉄鉱石供給の枠を超え、鉄鋼バリューチェーン全体の脱炭素化を目指す本プロジェクトを通じて、持続可能な未来の実現に向けたグローバルなパートナーシップの構築を推進しています。
リオティント、インドにおける低炭素アルミニウム事業の検討に向け覚書を締結 (英語リリース)
リオティントと、エネルギー転換に向けたソリューションを提供するAMGメタル&マテリアルズ(AMG M&M)は、インドにおいて再生可能エネルギーを活用した統合型低炭素アルミニウム事業の実現可能性を共同で評価する覚書(MOU)を締結しました。
両社は、年間最大100万トン規模のアルミニウム製錬所および200万トン規模のアルミナ生産施設の開発可能性について、風力・太陽光による再生可能エネルギーと揚水式水力発電による出力安定化を組み合わせた電源構成のもとで検討を進めます。
本調査では、AMG M&MがGreenkoと協力して安定供給可能な再生可能エネルギーソリューションを検討するとともに、リオティントは商業的なアルミナ供給体制の構築可能性を探ります。加えて、プロジェクトに最適なコスト効率を実現するため、各種製錬技術の比較・評価も実施されます。
第一段階として、インド国内の適地における年間50万トン規模のアルミニウム製錬所の開発可能性について評価を行う予定です。